Sweet Season

会社の年上上司との秘密の恋

あれからのこと②

なんとか涙を堪えて勤務先の駅で降りた。
既読にしてしまったから何か返信をしなくてと焦る気持ちはあるのになんて書けばいいのか分からない。


「お久しぶりです。元気です。」


それが精いっぱいだった。


既読になったと同時に電話がかかってきた。
反射的に出てしまう。


「もしもし・・・」


「kiyo、ごめん。心配したよね。実は・・・」


「ごめんなさい。今とっても動揺していて何も言葉が出てこない。聞きたいことはいっぱいあるのに。これから仕事だから落ち着かなきゃいけないのに。」


「そうだよな。まずはちゃんと会って話したい。kiyoはいつなら時間とれる?
俺が行けるといいんだけど、ちょっと遠くまで来てもらわないといけないんだ。
電話に出てくれてありがとう。声を聞いてホッとした。仕事が終わったら連絡して。」


「うん。分かった。」


これは夢?と思いながら会社までの道を歩く。


ちょっと遠くまで来てもらわないといけないってどういうことなんだろう?


遠くってどのぐらい?


一体なにがあったの?


考え出すときりがなくて、私は会社に急で申し訳ありませんが、休ませて下さいと連絡を入れ、そして彼に電話をかけていた。


「どうした?なんかあったか?」


携帯の向こうから聞こえる彼の声は以前と何も変わらない。
私が急に電話をかけるといつも何かあったのかと心配してくれるのも。
また涙が溢れてきた。


「会いたい」


彼から告げられた場所は電車で40分ぐらいかかる場所。詳しい話は会ってからと言われたけれど、その場所にいるということが、今彼は普通の状態ではないということ。
連絡が来た驚きと、嬉しさと、そして若干の怒りとが入り混じっていた私の気持ちは一気に不安だらけになった。


会いたい。
でも怖い。